風と幻灯

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息子とわたしの19年【1】

昨日、12月19日は、息子の19歳の誕生日でした。

お昼から、ディズニーシーへ出かけ、ちょっとだけ豪華なお昼と、散歩やアトラクションを楽しんで、近所のレストランでバースデーディナーを食べました。

息子は、日付の変わった0時から、「0じだよ、ぼくのたんじょうびだよ、19さいなったよ!」とご機嫌で、昨日も一日中鼻歌を歌ったり、たくさん笑ったり。
本当に、本当に楽しそうでした。

この1年、いろんなところへ出かけた際に、ポケモンのガチャガチャや、おもちゃ入りのおかしなどを見かけるたびに、買いためてきました。
それを紙袋一杯に入れて、息子に「プレゼントだよ!」と渡すと、それはそれは嬉しそうな顔をして、おもちゃとわたしたちを交互に見比べて「ぼく。しあわせ」と言いました。

19歳・・。

本当に、あっと言う間の19年でした。


息子は、1991年12月19日、吉祥寺で生まれました。

前日に、産院へ検診で出かけ、検診と友達の見舞いをし、その帰り道、破水がおこりました。
あわてて家に戻り、あわてて掃除をして(お義母さんがくるしね! 笑)あわてて荷造りをして、夫に電話を入れて、タクシーで病院へ向かいました。

「○○産婦人科まで」と運転手さんに伝えると、「どなたかのお見舞いですか?」と聞かれたので「いいえ、これから子どもを産みに行くんです!」と言いました。
まだ、陣痛はなく、元気そのものだったので、運転手さんも「ええ?」と驚いて、それから、自分の娘さんのお産の時の話などをしてくれました。

病院の前に着き、お金を支払おうとすると運転手さんが振り返って「お代はいりません・・生意気言うようですが、いい子を産んでください」と言ってくださいました。
とても嬉しくて、とても幸せな気持ちになりました。


病室に入ると、母親学級で友達になったS藤さんがびっくりしてわたしを見て「昼にあったばかりなのにね!」
S藤さんは、一週間前に赤ちゃんを産んでいて、昼に見舞ったばかりなのでした。

その夜、陣痛はまだ来ず、あまり眠れぬままに一夜を過ごしました。

翌日になっても陣痛が来なかったので、薬で陣痛をつけることにして、昼過ぎに、退院のS藤さんを見送って、また静かな病室に戻りました。
その日、お産で入院しているのは、わたしだけでした。

夕方になって母がやってきて、それから少しずつ陣痛が始まり、夜になって仕事を終えた夫くんがやってきました。
痛くて、痛くて、泣き出しそうで、それでいて、やけに眠くて。
そして数時間後、病院の忘年会中だったドクターが、少し赤ら顔でやってきて、「飲んでますけど、大丈夫です!」と笑いました(笑

そして、その頼りない?ドクターと、すっごく頼りがいのありそうな助産婦さんと、立会いを希望していた夫くんに見守られて、夜の9時すぎ、息子が生まれました。
「猿みたいだな!」と夫くんは笑い、わたしのおでこに何度もキスをしました。

幸せな夜でした。


それから何ヶ月か、初めての育児。
母親学級で友達になった何人かで一緒に出かけたり、近所を散歩させたり、家族3人でピクニックにも行きました。

近くに大きな公園があって、天気の良い日にそこでピクニックをしていると、近くで小さな男の子とお父さんがキャッチボールを始めました。
それを見ながら夫くんは、「俺がやるならサッカーだな。大きくなったら、景とサッカーをやるんだ」と言いました。
毎日、毎日、とても平凡で、やんわりと幸せでした。


3ヶ月のころ、健診に息子を連れて行きました。
当時の日記です。

*****
1992年3・30(月)

景史3ヶ月検診。
身長61cm、体重5800g
大きくなったねー
足がO脚?と言われる。集団健診で聞いてくださいって。
大丈夫かしら?心配。
帰り際ひどい雨になってあわててタクシー乗り場へ。
カゼ・・ひかなきゃいいんだけど・・・。
夜、母などにTel
O脚って言われたんだけど・・などなど。
心配ないと言うけれど・・・
まぁ、歩いたりとかに支障がでないといいんだけど
・・・でも、パパもガニマタだもんね、よく見ると!
大丈夫か!!

*****

1992年4・16(木)

今日は景ちゃんの集団健診でした。
首のすわりが遅いと言われ、少し、発達の心配があるとの事。
足の方はわからないので、明日、日赤に行くことにした。
保健所の女の人が、本当に優しく気を使いながら話す。
わたしは全然平気なふりをしてなるべく笑いながら話を聞く。
ドアの外でベビーカーを押しながら、涙が出ていることに気がついた。
パパになんていおう、なんて話そう。
ショックを受けるに違いない。
いろんなことを考えた。
家に着くと、まだパパがいて、わたしは平気なふりで、なるべく何気なく話す。

*****

1992年4・17(金)

武蔵野日赤病院へ。
足の方は問題ないらしい。
ついでと思ってみてもらった小児科。
やっぱり首の据わりは遅い様子。
1ヶ月うつ伏せをさせるように言われる。
5月28日、健診に行く。

*****

1992年4・18(土)

夜からうつぶせの訓練。
何度も何度もやるうちに、少し首をもたげるようになった景史。
嬉しくてパパと二人で笑った。

*****

1992年4・24(金)

このごろ、景はエクササイズを頑張る。
ようやく、あごがつくかつかないかくらいに持ち上げられるようになった!
がんばろうね!

*****

1992年5・13(水)

発達健診。
首のすわり、もうちょっとだって!!
でもだいぶ心配なさそうだね、良かった!
赤ちゃんたいそうを教わる。

*****

1992年5・19(火)

今日はポリオ。
保健所で先生に、あんまり抱っこしてないでしょうと言われる。
首のすわりが遅いからだって。
抱っこされてない寝かせっぱなしの子は、首のすわりが遅いんだって。
抱っこしてるもん。
毎日、毎日、抱っこしてるもんね!!

*****

1992年5・28(木)

今日、景史を日赤に連れて行った。
6月4日、6月17CT&脳波
Dr.は原因がわからないと言う。

*****

1992年6・4(金)

景ちゃんは今日、日赤で脳波をとった。
麻酔のシロップを飲ませるとき、すごくドキドキした。
このまま、景が目を覚まさなかったらどうしようって・・。
40分後、出てきた景を抱きしめる。

*****

1992年6・17(水)

CTスキャンの日。
今日の景史は、なんだか食欲が無くて心配。

*****

1992年6・25(木)

脳波とCTの結果が出た。
脳波に問題は無かったが、CTで問題があった。
脳の骨と脳の間に水(溝?ききとれなかった・・)があるとのこと。
もっと詳しく調べるために、MRIという検査をすることになった。
国立精神神経センターに行くことになる
重い病気でないことを祈る。
ふつうの子どもと同じでいい。
ふつうに暮らしていければ・・。
わたしが死んでも、ひとりで生きていければ・・・。

*****

1992年6・27(土)

水天宮へ行った。
景ちゃんに厄除けの鈴を買う。
夜、ぐずりだす景史。
わたしが歌を歌うと泣き止んで笑いだす。
可愛くて、可愛くて、涙があふれ出てくる。
どうか無事でありますように・・・。

*****

1992年7・7(火)

今日は七夕。曇り空で星は見えない。
家の中に笹を飾り短冊を飾る。
景史の健康を祈る。

*****

1992年7・10(金)

景の病気、なんだろう。
CTだけではいろいろと考えられると言っていた。
手術とかで良くなる病気なのかな。
筋肉の病気で、わたしが知っているのは筋ジストロフィーだけ
でもあれは、大人になってから出るんだよね?
それに、あんなヒドイ病気であるわけがない

*****

1992年7・17(金)

国立精神神経センターに行った。
はじめに麻酔を点滴するというので、景史を先生に預けて部屋を出る。
景の泣き声が響き渡る。
10分、15分と時間が経つ。
わたしとパパはうわの空で会話を続ける。
泣き声があんまり激しいので、涙が出てくる。

30分ほどして先生が出てきて、あんまりに血管が細いので針が入らないと言う。
座薬に切り替えてMRIのROOMへ。
先生が、お母さんはここで待っていて下さいと、待合のソファーへ。
パパと先生は奥へ入っていく。

そして何十分か後。
パパがスリッパを引きずりながら歩いてきて隣に座った。

そして言った。
今、先生と話してたんだけど・・・
筋ジストロフィーだろうって・・・言葉も、しゃべれるようになるかどうかわからないし、たぶん・・立てないだろうって・・・。

頭の中が真っ白になる。

立てない?
何も考えることが出来ず、ただ、涙が溢れ出る。
一番最悪だと思っていた病気。
まさか、うそだ、でもどこかでやっぱり、そう思っている自分がいた。
信じたくなかった。景史。

帰り際、でも、筋ジストロフィーは知能には出ないんでしょう?
わたしが聞くと、パパは、もしも福山型なら出るよ。とだけ言った。
泣いているわたしの手を握り締めて、大丈夫だよ。と、何度も言った。

*****

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7 Comments

ふくふく says...""
息子さん、お誕生日おめでとうございます。
私は子供もいないし、近くにこういう病気の人もいなく、何も気の利いた事は言えなくて申し訳ありません。
でも普段のブログから、momeさんの息子さんやご家族(猫含む)に対する気持ちがひしひしと伝わってきます。
これから先もmomeさん一家が幸せでありますよう祈ってます^^
2010.12.21 01:09 | URL | #- [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010.12.21 02:15 | | # [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010.12.21 02:36 | | # [edit]
カズペコ says..."おめでとう"
胸が詰まるような思いで、一気に読んでしまいました。
なんといってよいのかわかりませんが、
momeさんご夫婦のやさしくて、愛情に満ちた人柄が
心にしみました。
これから先もいろんなことがあるのかもしれませんが、
神様はこの2人なら乗り越えられると思ったのでしょうね。

息子さん、お誕生日おめでとうございます。
2010.12.21 11:34 | URL | #- [edit]
mome says...">to ふくふくさま"
お祝いコメントありがとうございます^^
「気の利いたことは言えなくて」なんて、とんでもないですよー!
ブログなんて、書きたくて書きたくて、そして誰かがひっそりと読んでくれればもっと嬉しい!って物ですから、書いたことに満足していますし、さらに、読んでいただけて、とっても嬉しいんです。
いつも本当にありがとうございます^^
2010.12.21 15:51 | URL | #195Lvy4Y [edit]
mome says...">to カズペコさま"
お祝いありがとうございます^^
息子の誕生日は、やはりわたしの中で、とても特別な日で、これから何回かこの続きを書こうと思っています。
お付き合いいただけて、本当に嬉しいです。

わたしたち夫婦は、本当に何も持っていないふたりですけど、息子のおかげでいろんなことを学ぶことが出来たと思っています。
2010.12.21 15:55 | URL | #195Lvy4Y [edit]
mome says..."非公開コメントを下さったAさま、Bさま。"
Aさま。

お祝いをありがとうございました。
Aさまが体験されたことは、実は過去、わたしも体験したことでした。
ですから、Aさまのお気持ちが、少しはわかるように思います。
たくさん、たくさん、辛いこともありますが、少しでも多く笑っていられるよう、わたしからも、Aさまのご健康と幸福を心からお祈りさせてくださいね。

Bさま。

お祝いをありがとうございました。
わたしの経験ではありませんが、わたしのとても親しくしている友人が、同じ経験をしました。
みんなで一緒に泣きました。
でも、いま、その友人は、本当に幸せそうに毎日を過ごしています、最愛の旦那様と、それはそれはかわいいわんこと一緒に。
いろんな道があるものですね。それぞれに。
みんな違って、みんないい。ってやつですね^^
2010.12.21 16:18 | URL | #195Lvy4Y [edit]

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