風と幻灯

家族のこと、猫のこと、日々の暮らし。
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えんちゃん②

話しはすこし前後しますが、えんちゃんを捕獲する前日に、えんちゃんたちにエサをやっていた、「エサやり」さんとお話しをすることが出来ました。

まず、えんちゃんたちが、飼い猫であるか、野良猫であるかの確認をするために、エサやりさんの家に毎日通っていたのですが、会う事が出来ず、明らかに家に居るのに出てきてくれない。といった日もあって、ほとほと困っていました。

けれど、そうやって通い続けていたおかげで、ご近所の方々とも知り合いになることが出来て、いろんなお話しを聞かせてもらうことが出来、自分が、このえんちゃんファミリーのために、不妊手術をしていきたいのだと話すと、それは良いと賛同していただくことが出来ました。

ご近所の方には、エサをやっていれば、ごみを荒らすことも少なくなると思うことや、エサはきちんと片付けて掃除をするので、虫が沸くことや、カラスが集まることもないし、糞尿で困っていることは無いか、あれば片付けに伺うことなどを告げ、不妊手術をすれば、これ以上猫も増えることは無いし、野良猫の寿命は3年から5年と言われているので、どうか一代限りの命を見守って欲しいなどと伝えました。
運良く、お話しが出来た方々はみなさんご理解を示してくださり、えんちゃんファミリーは、なんとかその地で短い生涯を無事に過ごすことが出来そうでした。


そして何日か経ってから、そのご近所の方から「今、Kさん(エサやりさん)帰ってきたわよ!ご旅行にいってらしたんですって!猫のことは野良猫だから、好きにして良いって言ってるわよ~」と電話があり、急いでエサやりさんの家に伺って、お話しをすることが出来ました。

どうやら、ご旅行に行かれていたのは本当で、留守中、お留守番をしていた飼い犬のために、時々娘さんがご飯をやりに家に来ていたようで、それを居留守とわたしが勘違いしていただけのようでした。

エサやりの奥さんは、とても良い方だったのですが、なんとフィリピンの方で、日本語も難しいことだと通じなく、意思の疎通はちょっと難しかったのですが、野良猫であることが確認でき、子どもを妊娠させない手術のための同意も得ることが出来ました。

ただ、いろいろとご事情もあって、金銭的な援助は見込めないようでした。
(まぁこれは、もともと自分でやると決めていたので、数も多くないし、大変だけどなんとかなると思いましたが)


そして、えんちゃんの捕獲となったわけです。



病院から帰る途中も、涙が止まることはありませんでした。
わたしは、泣きながらも、怒ってもいました。
何か、他に方法はないのかと、ずっと考えていました。

家に着くと、まず、えんちゃんをケージに移しました。
ケージの中にダンボールで作った簡易トイレと、水とエサを置き、玄関前のポーチに設置しました。

捕獲器の扉とケージの扉をくっつけて開くと、えんちゃんは、逃げるようにケージに移り、そしてまた暴れました。
いそいでケージにバスタオルをかけて、落ち着かせました。

わたしは家に入り、「どうだった?」と聞く娘に事の次第を伝えました。
娘は、困ったような顔をして、う~んと唸りました。

それからすこしして、夫から電話があり、「どうだった?」と聞かれ、先生が言ったことを話して聞かせました。
夫は「それは、先生の言うことは、とても理性的な判断だと思うよ」と言ったので、わたしは、カッと頭に血が上り、「じゃぁ、堕胎させろって言うの?!」と大きな声をあげました。

まず、わたしが、今回病院に行って思ったことは、先生は、えんちゃんをチラリと見ただけで、診察など行わなかった。妊娠しているかどうかはレントゲンを撮らないと分からないと言ったけど、本当にそうなのか。
そして、レントゲンや血液検査には麻酔が必ず必要だといったけど、本当にそうなのか。
そしてまず、堕胎ありきの考えかたで、それが病院の方針なのか、先生の個人の考えなのか分からないけど、他に道は無いのか、すべての病院がそう思うのか分からないということを言い、別の病院で、血液検査に麻酔は必ず必要なのか聞いて調べたいと言いました。

夫は、「それはドクターショッピングだ」と、とても否定的だったので、「ドクターショッピング?どうして?求める医療があるかどうかを調べることがドクターショッピングなの?」と言い返し、「わたしだって、卵巣脳腫の手術をしたとき、最初の病院じゃ開腹手術しか出来ないって言われたから、そうじゃない方法をとる病院を探したじゃない!それもドクターショッピングだったの?!」と言いました。

それから先生は、わたしのやり方はとても中途半端だから、その自覚があるのなら、堕胎が出来ないのなら、その猫と一切関わらないほうが良いとも言っていたので、そのことも告げると「僕もそう思う。一切関わらないという選択もあるんだよ」と夫は言いました。
だけど、一切関わらないということは、このままえんちゃんを元の場所に戻し、勝手に子どもを産ませ、何の処置もせず、えさも与えず、会いにも行かず、ただどこかで増え続けてしまうことを知っていながら、まるで知らなかったことのように過ごすということで。
「その選択肢はわたしには無い。エサをやった以上、責任があるんだ」と言いました。
夫は「責任の取り方はひとつじゃないだろう、まったく関わらないことも責任の取り方のひとつだ」と、わたしの考えに、やはり否定的でした。

だけど、やっぱり、それを選ぶことはわたしには出来ないと思いました。

とりあえず、夫は、これから打ち合わせがあるから、また後で・・と言って電話を切り、わたしは、パソコンに向かい、動物病院を検索しはじめました。
何件か候補が挙がり、まず、野良猫の不妊手術などを半額で行っているという病院へ電話をかけてみることにしました。
そこは、野良猫たちの里親の募集も行っていたりして、野良猫に理解がある病院だと思ったからでした。

電話をして、実は野良猫を捕獲しているのですが・・と、伝え、野良猫の血液検査をしたいのだけど、麻酔は必ず必要なんですか?と聞いてみると、病院の先生が出て、「まず、その野良ちゃんを見てみないことには、なんとも言えない」と言いました。
ネットに入るようなら、麻酔をしなくても、血液検査は可能ですよ。と。

それこそが、わたしの求めていた答えでした。
そう、ともかく、見て欲しい。見てくれないと始まらない。それで無理ならしょうがないけど、もしかしたら大丈夫かもしれないじゃない!って。

今から伺います!と言って電話を切り、支度を整え、えんちゃんを再び捕獲器に戻すかしないといけないと思い、洗濯ネットをひろげて、ケージの扉に設置し、扉をあけました。



わたしは、本当に、バカで、まぬけで、愚かで、無知でした。


えんちゃんは、研ぎ澄まされた野良の感性で、するりと隙間を見つけ出し、あっというまにポーチを抜け、階段を駆け下りて行きました。
慌てて追いかけても、捕まるはずなどありませんでした・・・。


我が家の前には、「環八」と呼ばれる、とても大きな道路があります。
片側3車線の・・。
いつも交通量は激しく、その通りを越えたところが、えんちゃんの「餌場」なんです。

えんちゃんが、餌場に戻るためには、その環八を超えないといけない・・。
えんちゃん・・・。
あぁ、なんてことをしてしまったんだ・・。
環八を超えることが出来ただろうか?それとも、怖くてどこか違うほうに逃げてしまっただろうか?
もうあえないんだろうか?
無事でいるんだろうか?
こんなことなら、堕胎でもなんでもしておけばよかった!
家に連れて帰らず、病院に預けていたら、こんなことにならなかった!!
なんて自分は間抜けなんだ。
どうかどうか無事でいて・・・。

暫くの間は、当てもなく、マンションのを探し回りました。
車に轢かれた猫の姿が無いか、注意深く道路を見て回ったりもしました。

ため息をつきながら家と餌場の往復を何度かしました。

そして、2時間後。

いつもの餌場にえんちゃんの姿を見ることができました!
あぁ、よかった、帰っていた!無事だった!

だけどえんちゃんは、すっかりわたしを警戒して、近寄ってきてはくれませんでした。

でも、生きてた。
よかった・・・。


とりあえずほっとして家に戻り、これからのことを、ゆっくり考えないといけないと思いました。


これからのこと。


①えんちゃんの再捕獲は可能だろうか?
②えんちゃんを捕獲できたら、どうすることが良いのか

わたしは、再びパソコンに向かい、堕胎について、多くの人がどのように考えているのかを調べ始めました。
愛護団体さんや、ボランティアさんのHPやブログを見て回りました。
先生の言っていたことも、何度も思い返して、考えました。
そして、多くの団体さんやボランティアさんが、涙を飲んで、堕胎の道を歩んでいることも知りました。


「今ある命」と先生は言っていた。
今ある命と、これから生まれる命の差ってなんだろう?

産ませるという選択は、今ある命を脅かすことにもなるのだろうか?

不幸な命を作り出すだけのことなのか。

不幸な命ってなんだろう?

えんちゃんにとって、最善の方法って、なんなんだろう?

人は猫じゃない。猫も人じゃない。

擬人化した考え方は、間違っているのではないだろうか?

多くの野良猫たちが、飼い主の居ない猫たちが、殺処分にあっている現状。

その多くは、子猫たちという現実。

わたしは、現実を見ていないだけじゃないのか?

飼い主の居ない猫たちの数と、猫を飼いたいひと、需要と供給のバランスは明らかに崩れている。

もしも、わたしのところでえんちゃんが子どもを産んだとして、その子らが里子に出ることができたとしても、純粋に喜ぶことは出来るのか?

今、待っている子たちの行き場を奪っているだけじゃないのか?

そもそもえんちゃんは、家で子どもを産むことができるのか。

衰弱して、母子ともに危険な目にあう可能性だってある。

危険を察し、産んだ子を食べちゃう親猫もいると聞く。

堕胎もエゴなら、生ませることもエゴなのか。

えんちゃんの体は大丈夫なのか。

そもそも、わたしのような人間が、こんなことにかかわったことが間違いなんだ。

かわいい、かわいそうだけで、動物愛護は出来ないと。

でも。


えんちゃんのことが、可愛くて、可愛くて、可愛くて。

ただ、それだけだったんだ・・・・・。



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6 Comments

tomotan says..."No title"
うわああ、難しい問題だよね、、。 えんちゃん1,2を読んでもう一回考えてみる。動物愛護の難しさだね。 昔私もえさをあげていたけど、、。どうすればいいのかな? 地域猫の活動されてる方とのお話はどうなったのかな?
2012.11.11 10:14 | URL | #- [edit]
夕霧 says..."No title"
難しい問題ですね。。。
でもね、私の知っているボランティアさんたちは、みなさん涙を飲んで堕胎しています。
生まれてきても、その命の幸せは保証できないから。
「不幸な野良猫を増やさないための活動」が前提だから。
きっと生まれ変わったら、ちゃんと幸せになってね、と祈りながら。
みなさん、平気でやってることではないんです。
そのあとのブログを見ると、すごく落ち込んでたり、気丈な書き込みでも「きっとたくさん泣いたよね」と分かるような記事だったり。
手術する動物病院の先生だって、きっとすごく嫌で、すごく胸が痛いはずです。
動物を生かすために獣医になったのに、その逆をしなければならないなんて。
でも、保健所で安楽死とは言えない状態での殺処分を知っているから・・・。
つらいのは、みんな同じなんです。

moneさん、つらいつらい決断ですが、私は堕胎をおすすめします。
えんちゃんのお腹に宿った子たちももうすでに「生きている命」です。
moneさんのお気持ちは本当に・・・痛いほど分かるし、これを書いている私も、ちょっとフツーの精神状態ではいられません。
こんなひどいことを「おすすめ」するなんて、自分が信じられない気持ちです。
でも、えんちゃんも生まれてくる赤ちゃんも、moneさんのお宅でその一生を終わらせてあげることができないなら・・・。

もうちょっと書きたいことがあるんですが、
うまく考えがまとまりません。
自分のブログでもだいぶ前に書きましたが、
人間もねこも、命の重さは同じです。
「魂の入れ物」がちがうだけ。
このことを頭に置きながら、このコメントを書きました。
2012.11.11 15:21 | URL | #KKhd1Ueo [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012.11.12 11:37 | | # [edit]
mome says...">to tomotanさま"
本当に難しい問題でした~(TT)

一生分、泣いたんじゃないかと思うほどだったけど、とにかく、妊娠してなくてよかったです!!
でもこうやって、自分の立場になったときに、今まで活動してくれていたひとたちが、どんな思いでやっているのかを知ることができて、よかったかなぁ・・。
見るだけ、聞くだけじゃ、やっぱり分からないですもんね。
これからも、じっくり考え続けたいことです。
2012.11.12 19:56 | URL | #- [edit]
mome says...">to 夕霧さま"
わたしね、本当に、生理的に、「堕胎」なんて絶対ダメ!!って思ってました。
夕霧さんの、たぶんご支援していらっしゃる団体さんのブログを読んだとき、たしか堕胎について触れていることもあって、わたしは、「あぁ、ここには支援できないなぁ・・」って思ったんです。
ごめんなさい。

実際、自分がその立場になったとき、本当に苦しみもがきました。
そうして、いろんな方の意見を読み聞きして、自分なりにたくさんのことを考えました。
つらいよね、誰だって、イヤなんだよね、当たり前だよね。

だから、わたしは、たぶん、現実を知らない子どものようなことを言っているんだろうなとも思いました。

結局、妊娠はわたしの勘違いで、それでわたしは、結果として堕胎をせずに済んだわけだけど、それは結果論でしかないものね。
そういう状況になったとき、どう考えるかですよね。

まだね、自分自身では、「不幸な命」っていうのが、どうもしっくりこないでいるんです。
あぁ、これも、現実を見ていないだけだと思うんだけど、でも、それが正直な気持ち。
それでも、少しずつね、自分なりの解決方法っていうか、納得の仕方っていうか・・そういうのを探して行きたいって思ってます。

夕霧さんの気持ち、とってもよくわかりますよ。
夕霧さんの思いも、猫が大好きで、大好きで、それで見つけた道なんですもんね。
2012.11.12 20:05 | URL | #- [edit]
mome says..."非公開コメントさま"
まさに仰るとおり!!だと思います。
ホントに、わたしの片思いなんですよ。それで動いたもんだから、話がシンプルじゃなくなってしまった・・。
非公開コメントさんの思うことは、うちの夫が言っていたことと似てるような気がします。
たぶんね、わたしのようなタイプの人間には、それが一番幸せに過ごせる道なんじゃないかなぁ・・。
でも、おかしなところで強情で、「引けない!」って思っちゃったんですよね・・。
これ、ダメなところだなぁ・・って思います。

うまくね、距離をとることができたら、こんな風にはならなかったんですけどねぇ。
ともかく、えんちゃんファミリーの件でケリがついたら、暫くはおとなしく過ごそうと思っているけど・・。
できるかなぁ~~~~?
ちゃんとボランティアなどして、勉強していきたい気持ちもあるんですよねぇ。
この性格、何とかして欲しい・・。
2012.11.12 20:10 | URL | #- [edit]

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