風と幻灯

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疾走

タキ



昨日は、午後一番でタキのお骨を返して頂きに行ってきました。

お寺につき、お墓を通り抜け、動物霊園の方へ向かう。

わたしは、とても怖がりで、ひとっこひとりいない、その墓場を通り抜けることが、少し怖かった。

そういえば以前、うちに来てくれているヘルパーさんが、お母様が亡くなられたあと、「幽霊でもいいから、もう一度会いたい」と思ったそうで、それ以来、そういうものが怖くなくなったといっていたのを思い出した。

わたしも、幽霊でもいいから会いたいと思う。
その背中を撫でたいと思う。

でも、タキ以外は、やっぱり怖い。

早足で墓場を通り抜け、動物霊園の受付についた。

今日も、数人のひとが、黒い服に身を包んで、ソファに腰掛けていた。

毎日、どこかで生まれて、どこかで、旅立っていく。

係りの人に、名前を告げて、骨を受け取りに来たことを告げると、しばらくして、わたしたちが選んだ、茶の刺繍の箱に収められた骨壷を、うやうやしく盆にのせ、係りの人がやってきた。

「ご覧になりますか?」と聞いてきたので、「はい」と答え、その骨壷の中を見せていただいた。

乳白色の、薄い、その骨が、タキなのだと、にわかに信じられなかった。

「しっかりと、残っていらっしゃいます」と、係りの人は2度言った。
重要なことなのだろうか。

房のついている方向が、お顔の向きでございますので。と係りの人は言って、冷たいお水を差し上げてくださいと言った。

泣き崩れると、急なことだったのですか?と聞いてきたので、うなづいた。


ピンクの布で骨壷の入った箱を包み、わたしはそれを両手でしっかりと抱いて、霊園を後にした。

また、お墓を通るけれど、怖くは無かった。タキと一緒だから。


そういえば、何度か、わたしがネットで怖い話を読んで、その後、ひとりでお風呂に入るのが怖くて、タキとニケを連れてお風呂に入ったこともあった。

タキとニケは、息子の入浴チェアに座り、わたしを見守ってくれていた。


墓場を通り過ぎて、竹やぶに入ったとき、一昨日、葬儀の後のことを思い出した。

たぶん、お寺で飼っていると思われる黒い猫が、わたしたちを見送ってくれて、「今日は、クロネコでお見送りか」と夫と娘と言っていたのだけど、その黒い猫にまた会えないかな?と思い、「今日は奇跡を起こしてくれないの?」と胸の中でタキに聞いてみた。

そして、そう聞いた直後、どこからか、猫のみゃぁ~と言う鳴き声が聞こえた。
はっきりと、聞こえた。

わたしはあたりを見回して、あのクロネコを探したけれど、姿は見えなかった。

タキ!
タキ!

2度、声に出して呼んでみたけれど、もう、何も聞こえなかった。




その後、タキを車に乗せたまま、区役所に向かった。

息子が今月20歳になるので、障害者年金の申し込みのためだ。

年金の窓口は感じが悪いよ。と、噂で聞いていたので、覚悟して行ったけれど、とても親切に対応していただいた。
書類をいくつか貰って岐路に着いた。


タキをリビングの棚、以前は息子のポケモンコーナーだった場所をあけて、そこにタキの骨を置いた。
そこなら、他の猫が、落としてしまうこともないだろう。

水を入れる良いコップが見当たらなかったので、小さなワイングラスに水を入れて、タキの前に置いてあげた。



夕方になって、息子をお迎えに行く準備を始めた。
5泊、息子はよく頑張って入院していてくれた。

タキのことがあったので、一度も、お見舞いに行くことが出来なかった。

5時過ぎ、池上に到着し、息子の病院に行く前に、喉が渇いていたので喫茶店に入り、あたたかいミルクティを飲んだ。
近くに、食器などが置いているお店がないか、ウエイトレスさんに聞いてみると、あいにく近くには無いようで「おしゃれな食器ですよねぇ?」と聞いてきたので、「いえ、なんでもいいんですよ」と応えると、「だったら、キャンドゥが目の前にありますけど・・」と微笑んだ。
100円ショップか、手ごろなものがあるか見てこよう。

お茶を飲んだあと、100円ショップに向かい、食器のコーナーに行くと、ちょうどよいサイズの、ぐい飲みがあった。
これなら、猫が万が一倒しても、被害も少ないだろうと、それに決めた。


息子の病院に向かい、部屋につくと、ちょうど食事の前で、息子がテレビを見ていた。

後ろから抱きしめて、キスをすると「病院でごはんなの?」と、ちょっと不満そうに言った。
そうだね、帰ったら、ハンバーグの約束だったもんね。
でも、今日は遅くなっちゃったから、食べて帰ろう。
明日、ハンバーグにするよ。

息子に食事を食べさせていると、数人の看護士さんが入れ替わりやってきて、息子に「ママ、来てくれてよかったね」と言い、「またねはあるかな?」と聞き、別れを惜しんでくださった。
「わがままだったでしょう?ご迷惑おかけしました」と言うと、「そんなことなかったですよ、病棟が明るくなりました」と言って下さった。

オムツの状態もよかったし、歯磨きもきちんとしてくれていたようだったし、よくケアしてくれて、可愛がってくれていたのだと思い感謝した。


それから息子とおしゃべりをしていると、息子が「タキちゃんは?」と聞いてきた。
「タキちゃん、たいいんした?」
なんて答えようかと、一瞬迷ったのだけど
「タキね、天国に行っちゃった」と答えた。

息子は「しんじゃったの?」と聞いてきたので
「うん」と答え
「なんで?」と聞くので
「病気だったの」と答えた。
息子の目から、涙が、零れ落ちた。


暫くすると、出張の帰りの夫が病室に入ってきた。

荷物を片付けている間も、息子は、タキのことを聞いていた。

「ゆうれいになってきたら、どうする?」と息子が言うので
「タキちゃんだったらいいよ。きっと、景史の背中に乗っかってくるね」と言うと、息子がくすりと笑った。

タキは、息子の背中で眠るのが大好きで、息子は、いつも重い、重いと文句を言いながらも嬉しそうだったから。



ここ数日、タキのことがあって以来、眠るとき目を閉じると、脳が疾走する。

目を閉じると、道路とか、線路とか、何かの道がイメージとして現れて、その上をわたしはぐいぐいと飛ぶように疾走する。

何かに引き寄せられるように、すごい速さで脳が締め付けられる。

夫に言うと、めまいなんじゃないかと言うのだけど、なんなんだろう。

飛ぶように、すべるように、引っ張られるように、暗い道を脳が走る。

どこからやってきて、どこに続く道なのだろう。

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14 Comments

says..."ローズキャット"
おはようございます。
うちも前の子達(姉妹)をお寺で火葬をし、
49日のあとに納骨をしました。
家には位牌があります。
うちの時も、係の方が「骨が綺麗に残ってますよ」と言ってました。
また、「具合が悪かった部分の骨が黒くなっている」
と教えてくれました。
綺麗に骨が残すことが、葬儀屋さんにとってかなり大変なことなんだそうです。
火力の加減によっては、ハムスターの骨は跡形もなくなっちゃうそうです。

私も幽霊は怖くて見たくないですが、
前の姉妹猫はウェルカムOKです。
お盆になると家の空気が変わるので、
「ミィちゃん(16歳)が帰ってきたんだな」 と分かります。

もう1匹のケィちゃん(8歳)が先に天国に行ったのですが、
初七日が終わるまで、ミィちゃんがケィちゃんを
ずっと探していました。
夜になると鳴いて歩き回り、
「ここのドアを開けて。この中にいるかもしれない」
とミィちゃんが訴えてきて、
その姿を見て涙が止まりませんでした。

ケィちゃんは亡くなって13年を過ぎた頃に、
家に来る気配がなくなりました。
家族全員がそれに気がついて、
お寺にある観音様の下に骨を埋めました。
(そのお寺の最終的な供養は、
観音様の下に骨を埋めることなんです)

ニケちゃとポロちゃん・・・タキちゃんがいなくなって
大丈夫ですか?

momeさん、そしてご家族の皆様、
色々あって気持ちが大変だったと思います。
どうか、体をご自愛ください。
2011.12.09 09:31 | URL | #- [edit]
norori* says...""
momeさん、疾走、、それって旦那様の仰られてるよう
めまいなのかもしれませんね。
疲れがたまってしまってるのでは?
ろくに睡眠もとらず、ずっと過ごされてたでしょう?
自分では寝てるつもりでも、全然体が休めなかったんじゃ?
時間が解決してくれます。
今は悲しくて辛くて何をしても涙、涙の日々だと思う。
ご無理せず、きちんと休養とってしっかり食べて!!

息子君、タキちゃんの死を理解したのですねっ
悲しいよね、辛いよね。
でも動物と暮らすって事は避けて通れない・・・
一緒に過ごした時間がとっても幸せだったタキちゃんは
天国行っても穏やかで幸せに暮らしてるんだろうな^^
そしてたまに降りて来てみんなを見守ったり励ましたり!!
だもん、会いたいって思うよね。
不思議だよなぁ~、お化けは怖いけど身内ならOKなんだもん。
それこそが絆なんでしょうね。

momeさん、ちゃんと食べれてる?
ゆっくり出来る時は横になって、ちゃんと休まれてくださいね。
2011.12.09 22:02 | URL | #- [edit]
yokoblueplanet says..."タキちゃんの分まで。。。"
こんばんは。
タキちゃん、逝ってしまったのですね。
タキちゃんの分まで残された皆が元気に生きなくちゃ、ですが、しばらくは淋しい想いが残るだろうと思います。
でも魂は不滅だと信じてます。いつも一緒にいると思います。
無理はせず悲しい時は悲しんで、時間が癒してくれるのを待つしか方法が無いのですよね、死に別れに関しては。
体調管理を充分にして一番辛い時期を乗り越えてくださいね。
2011.12.10 21:46 | URL | #- [edit]
koma says...""
タキちゃん、逝ってしまったのねぇ。
momeちゃん家の子になってから
ブログでその愛らしい姿を見るたびに
私も幸せな気持ちにさせてもらってました。
今までどうもありがとう。
どうぞゆっくり休んでね。

momeちゃんも。
体は大丈夫??
思ってる以上に疲れが溜まってるのかもしれないね。
休める時にはゆっくり・・・って言ってもきっとしないだろうと思うから
力を抜いてダラリとする時間をちょっとでもいいから増やしてね。
2011.12.11 14:49 | URL | #Qi8cNrCA [edit]
さとさと says..."慌ただしさを覚えてる?"
脳が疾走する感じ…私には無かったけど
なんとなくわかる気がするなぁ。

タキちゃんの事やご両親のお祝いやら
いつも忙しくしてるmomeさんだと思うけど
今回は更に慌ただしくて
ひと段落した今も 脳がその慌ただしさを
覚えているのかな?

momeさん どうぞ出来る時はゆっくり
休んで下さいね。
2011.12.11 19:44 | URL | #- [edit]
mome says...">to ローズキャットさま"
なるほど、骨をきれいに残すことは、結構難しいことなんですねぇ。
たしかに、ハムスターくらいちっちゃいと、大変ですよねぇ。

わたしの友人も、時々、毛のついた動物の足音のようなものが聞こえると言っていました。
きっと、帰ってきてくれているんでしょうね。
タキは、どうかなぁ、あの子は、のんびりやで、ぼーっとした子だから、「あ、おうちに帰るのわすれてた~」とか言いそう・・(笑

ニケとポロは、わかっているのか、わかっていないのか・・。
最後に、お別れをさせたんですが、「なんだろう?」とにおいをくんくん嗅ぎにきては、離れて・・を繰り返していました。
ニケが、前より、ずっと甘えん坊になった気がするから、やっぱり何か寂しいのかな。

うちは、夫が、タキと同じお墓に入りたいと言っているので、一緒に入れる霊園を探すつもりです(笑
2011.12.15 19:44 | URL | #- [edit]
mome says...">to norori*さま"
最近、そのような状態にならなくなったので、やっぱり睡眠不足がたたっていたのかもです~。
大丈夫、ちゃんと眠れているし、すごく食べてます。(ダイエット中なのに・・)
ご心配かけちゃって、ほんとうにごめんなさい。

息子はねぇ・・。
正直、どこまで理解できるか分からなかったんですが、ここのところ、そういうものを少しずつ理解しているようで、泣いてしまったのは、ちょっとびっくりしました。

毎日、朝起きると、タキの遺骨に「タキ、おはよう」と言い、帰ってくると、「タキー、ただいま~」と言っています。
大事に、思っていてくれたんだなぁって実感しています。

ほんと、タキならいつ帰ってきてもOKなのに、アイツーーーちっとも帰ってくる気配がない~!
2011.12.15 19:48 | URL | #- [edit]
mome says...">to yokoblueplanetさま"
魂って、絶対ありますよね。
天然タキのことだから、天国に行くのを忘れて、家にいつくかと思ったら、天国の居心地が良かったのか、ちっとも帰ってくる気配が無いんですよ。もうー!
でも、きっと、生まれ変わる準備をしているのかも?って思ったりもしています。

なんかね。あんまりまだ実感が無くてね。
寂しいし、居ないのは分かってるんだけど、すごく哀しいとかでもないんですよねぇ。
穴がぽっかりと開いているだけというか・・。
すごく不思議な感覚です。
2011.12.15 19:52 | URL | #- [edit]
mome says...">to こまちゃん"
タキねぇ。
本当に癒し系だったよね、すごくあったかい子だった。
そうなんだよね、本当は、ありがとうっていっぱい言ってあげないとなんだよね。
なかなかまだ、その気持ちになれなくて。

そう。よくわかってらっしゃる(笑
ゆっくりできないのよねぇ。
でも、忙しくしているおかげで、乗り越えていられるのかも。
でも結構、だらだら過ごしてるよ、ありがとうね。
2011.12.15 19:56 | URL | #- [edit]
mome says...">to さとさとさま"
確かに、ものすごく慌しい毎日だったから、勝手に脳が暴走しちゃったのかも~。
今も慌しさは、継続中だけど、なんだかんだよく眠っているので、脳の疾走はなくなりました。
不思議な感覚だったなぁ。

お互いにねぇ。
寂しい気持ちでいっぱいだけど、いろいろと悔やむこともあるのだけど、でも、出会えて、うちの子になってくれたことに感謝ですよねぇ・・。
ゆっくりゆっくり、可愛かったなぁってことだけ、思い出せるようにしたいなぁ・・。
2011.12.15 19:59 | URL | #- [edit]
さとさと says..."いかかお過ごしですか?"
タキちゃんが虹の橋へ行ってから
少し、時間が過ぎ どうしていらっしゃいますか?

他のにゃんずに癒されてますか?(羨ましい)

そうですね、考えると色んな事を思うのですが
もっと撫でてあげればよかった…とか思うかなぁ
仕事も連休して、1日中ずっと側に居たのにそう思ってしまいます

あんなに柔らかい・温かい・甘い時間は
他では得られないものね…………
あ~っと
又、泣けてしまう前に この辺で失礼します

少しずつ元気 取り戻しましょうねv-392v-422
2011.12.15 21:39 | URL | #- [edit]
mome says...">to さとさとさま"
わたしより、さとさとさんの方が心配だなぁ。

さとさとさんが仰るように、うちには、まだ、他のにゃんずも居て、やっぱり、それはすごく大きなことなんですよ。
彼らがいてくれることで、すごく慰めになっています。

時間はいっぱいかかると思うけど、少しずつ、少しずつね^-^
2011.12.16 17:52 | URL | #- [edit]
さとさと says...""
心配させてごめんなさいm(__)m

ミーちゃんの事 本当に好きだったから…
可愛かったから…
(T_T)泣き虫でダメですね
おばさんの泣き虫は可愛くないし(笑)

でも、時間とともに少しづつ元気になってます(^_^;)
2011.12.19 18:01 | URL | #- [edit]
mome says...">to さとさとさま"
いっぱいいっぱい泣いていいんですよーーー!
可愛くて可愛くて、ものすごく大好きだった子が、そこに居ないんですもの。
当たり前の感情ですよ。
そういうのは、押さえ込んじゃダメです。
わたしも、泣いたり笑ったりを日々繰り返しています。
そういうのを繰り返しながら、あったかい思い出だけが残っていくんだって思ってます。
ゆっくり、ゆっくりで行きましょう^-^
2011.12.20 09:01 | URL | #- [edit]

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