風と幻灯

家族のこと、猫のこと、日々の暮らし。
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破顔一笑-いじめ2-

今回は、娘の過去の話など。

うちの娘は、なんと言うか、小さいころから、どちらかと言えば「いじめにあいやすそうな」タイプでした。

いじめるひとと、いじめられるひとがいて、時々、いじめられる側にも問題がある。なんて言葉を耳にすることがありますが、それはやっぱり無いと思います。
何が原因でも、どうあっても、やっぱり、いじめるほうが悪い。これは間違いなく。

でも、確かに、「いじめにあいやすそうな」性格やタイプがあることも事実だと思うのです。
(繰り返しになりますが、だからといって、いじめていいわけじゃーない)

娘は、自己主張が少なく、強い相手に引きずられるタイプの子でした。
そして、ミーハーなところが少なく、喜怒哀楽もあまり豊富ではなく、少々、何を考えているのか分からないタイプの子でした。

幼稚園のころから、どちらかと言えばひとり遊びが好きで、わいわいと走り回る友達を眺めて、ひとりで、ニヤニヤ笑っているような子でした。

およそ、社交的ではないし、口下手で、人見知りも激しい。

息子のことがあったので、障がいに詳しくなっていたわたしは、「この子には、何か問題があるんじゃないだろうか」と何度と無く思ったこともありました。


わたしは、厳しい母親だったので、「わたしが押さえつけて育てたから、この子がこんな風になってしまったんじゃないだろうか・・」と、夫の前で何度も泣いたこともありました。


小さい子に、よく聞く質問で、「お友達の中で、誰が一番すきなの?」と言うのがあると思いますが、いつも、きまって、娘が言うのは「だれも一番じゃない」と言う答えでした。

ひとにも、モノにも、およそ執着というものが欠けていて、それは、なんとなく、わたしたちを不安にさせました。


それでも、数人の仲良しの友達はいたし、学校の勉強の中程度には出来ていたし、絵も上手で何度かほめられて、リレーの選手にも選ばれたりしたこともあって、周りのお母さん友達からは、「晶ちゃんは、なんでもできるねぇ」と言われていましたし、近所のお年寄りにも受けがよく、「いっつも挨拶してくれるのよ」と可愛がっていただき、徐々にわたしたちも安心し始めたのが、小学校の低学年の頃でした。

それから数年たち、彼女が高学年になった頃から、彼女ではなく、周りが少しずつ変わり始めました。

以前、小学校の教師をしている夫の友人が、「子どもはね、小学校4年で変わる」と言っていたように、子ども達は、少しずつ、思春期へ向かい始めていたのでした。


相変わらず、ぼーっとしていた娘は、周りの、「強い意見」を持った友達に翻弄され始めました。
後から親としてみると、「晶ちゃんを家来のように従わせたいのに、晶ちゃんは気の利いたことも言わないし、おべっかを使ってくるわけでもない。面白くない。生意気」そんな風に思ったのじゃないでしょうか。
およそ、娘は器用な子ではありませんでしたから、そんなこと、出来るわけがなかったのですけど。

そうして5年生のある日、娘と仲の良かったCちゃんが、数人のグループの中で、こう言ったのです。
「中学に入ればいじめがある。みんな、これからいじめに慣れておかないといけない。だから、順番でいじめごっこをしよう」

そんなのイヤだよ。と、何人かは言ったそうですが、結局、Cちゃんに押し切られる形となり、「いじめごっこ」の最初のターゲットは娘に決まりました。

みんなは、娘を、無視しなくてはいけなくなりました。


わたしが思うに、コレはたぶん、娘をいじめたいCちゃんが、娘をいじめるために考え出した「遊び」だったと思うのです。

暫く、元気の無かった娘から、その話を聞いて、(聞き出すのは大変でしたが)わたしと夫は話し合いの末、Cちゃんのお宅に電話をかけ、そのあらましを話すことにしました。
Cちゃんとは、小さいころから仲良しでしたし、ご両親とも交流がありましたし、正直、言いにくい状況ではありましたが、そんな状態の娘を放っておくわけには行きません。

Cちゃんは、とってもかわいい女の子で、大人の前では、いつもその大きな目をくりくりとさせて、純真そのものに見えるのです。
だから、Cちゃんのお母さんも、その話を聞いて、とてもとてもびっくりして、他のお友達の家にも電話をかけたようでした。

そして、子ども達がみんな、Cちゃんがそういったこと、晶がいじめられていることを話したため、Cちゃんのご両親からお詫びがあり、子どもたちは、また、通常に戻ったのだけど・・まぁ、Cちゃんからは「親に言うなんて卑怯だ」と言われたらしいですけどね。
まぁ、少しのところで、終わらせることが出来て、良かったんですが・・・。


そして娘が中学に上がり、1年生の頃、今度はまた違う形で、友達から敬遠される出来事がありました。

それは、「5時のおじさん」が原因で。


娘が小さかったころから、「5時のおじさん」は居ました。
いつも遊んでいる神社に、5時頃通りがかって、「もう、5時だよ」と教えてくれるのです。
それで、子ども達は「5時のおじさん」と呼んでいました。

5時のおじさんは、体に軽い障がいがありました。
脳梗塞か何かをわずらったのかもしれません。片方の手足が、少し不自由で、杖をついて歩いていました。
おじさん。と、言っても、もう「おじいさん」の年頃、雨の日も、かんかん照りの日も、一日中外を歩いていたので、わたしもよくおじさんのことは目にしていました。

娘は、5時のおじさんにとても懐いていたようで、おじさんも、「晶ちゃん、晶ちゃん」と、娘を呼んで可愛がってくれていたのだそうです。

中学に入って少しした頃、娘がふさぎこむことが増えました。
また、何かあったのかと思い、何日もかけて娘から話を聞きだすと、「みんなが、5時のおじさんと話さないでって言うんだけど。」と。

娘の友人らは、5時のおじさんが、知らない人の家に勝手に上がりこんでいるのを見た。だとか、子どもにしか興味を示さないだとか、つまり、5時のおじさんは変質者なので、近づきたくない。晶ちゃんが親しくしていると、わたしたちまで話しかけられて迷惑。と、言うことのようでした。

わたしが、はぁ?と笑いながら、「おじいちゃんだもの、子どもが可愛いのは当たり前じゃない」というと、娘はむきになって「他所の子がかわいいなんて、ヘンじゃない?!」と言ったのでした。

「お年寄りが、子どもをかわいいと思うのは、変なことじゃないよ!」と、わたしが言うと「どうして?」と食い下がってきます。
「おじいちゃんや、おばあちゃんは、そういうものなんだよ。晶だって、今まで5時のおじさんに優しくしてもらったし、ヘンなことされたりしてないでしょう?近所の○○さんのおばあちゃんとだって、仲良しじゃない。○○さんのおばあちゃんもヘンな人なの?」
「○○ちゃんのおばあちゃんは、ヘンなひとじゃないけど・・・」
「じゃぁ何?5時のおじさんだけヘンな人なの?」
「だって・・・みんなが・・・」

このことで思い出したのは、娘たちがまだ、幼稚園に入る前の頃のことでした。
あの頃、子どもが襲われる事件が相次いでいて、それも、道を尋ねられたりして教えてあげると、金槌で頭を殴打されたりする事件で・・。
ママ友達は、みんなで口をそろえて、どうやって子どもを育てたらいいの?と悩んでいたのでした。
ひとに親切にすることと、ひとを疑うこと、両方を教えなくてはいけない。
その基準は?見分け方は?どちらを優先させるべきなの?
当時も、このときも、わたしに答えはありませんでした。
でも・・・。


5時のおじさんは、はっきり言えば、みすぼらしい格好で歩いていました。
夏なんかは、ランニングにステテコだとか、わたしたちが子どものころは、よく見かけた格好だったけれど、今の子たちには馴染まない風貌だったのでしょう。
それに、少しの障がいがあって、しかも子ども達の言うように「大人嫌い」(偏屈なひとなんだそうです)
5時のおじさんが、子どもにお菓子(飴玉とか)を配るので、いくつかの家庭から、お菓子を子どもにあげないで欲しいと苦情も出ていたようでした。

「ママは、5時のおじさんは、ヘンなひとだとは思わないけどね!」娘に言うと、娘は困ったようにしていました。

それから数日後に、ちょうど、保護者会があったので、近所の情報通のお友達に、5時のおじさんの話を聞いてみると、どうやらお嫁さんとうまくいっていないそうで、一日中外を歩けと出されているようで、身なりにも気を使ってもらえていないとのことでした。
決して、変質者だとか、そういうひとでは無いけれど、やはり少々偏屈で、大人には気を許していないところもあると。
「何かあった?」と友達が聞くので「実は娘と友達がね・・」と事情を話すと「なるほどね。でも、本当に、ヘンな人じゃないよ」と言ってもらえて、わたしは安心して家に帰ったのでした。

しかし、その、また数日後。
娘に、「5時のおじさんの件、どうなった?」と聞いてみると、娘が、「おじさんに、手紙を書こうと思ってるの」と。
ちょうど、出勤前で夫も家に居たので、ふたりで「どんな手紙?」と聞いてみると
「おじさんに、もう、話しかけないで欲しいって。書こうと思って」と答えるじゃありませんか。

夫とわたしは、娘の出した答えに、プチンと切れて、と娘を叱り飛ばしました。
夫はもう、本当に怒っていて、「そんな手紙を貰ったおじさんの気持ちを、オマエはどう思うんだ?どんな気持ちがすると思ってるんだ?オマエがしようとしていることが、どんなことだか分かってるのか?!」と怒鳴りました。
娘は、ただ、ただ、泣いていました。

娘は、そのとき、周りの友達から5時のおじさんと縁を切らなければ、もう絶交。というところまで追い詰められていたそうです。

わたしは、「○○ちゃんママから、5時のおじさんの話を聞いたよ」と、おじさんの事情を話して聞かせ、「ヘンなひとじゃないって言ってたよ、ママもそう思うよ」と言い、「友達の中で、5時のおじさんのことを悪く思っていて、お父さんやお母さんもそう言っているのなら、ママがその子の家まで、全部説明しに行ってあげるから、ちゃんと話すから、そう友達には言いなさい。」と伝えました。

娘は泣きながら学校へ行って、どんな風に何を話したかは分からないけど、「そういうことなら、わたしたちと一緒に居るときにおじさんに話しかけなければいい」と言うことで、その件は治まったようでした。


その、2年位後。
家族で車に乗って出かけようとしていると、娘が、「あ!」と声を上げて、窓を急いで開けました。

「おじさん!!!」と、娘が大きな声で叫ぶと、道を歩いていた5時のおじさんが、顔を上げ、娘を見て、本当に、本当に嬉しそうに笑いました。

「破顔一笑」って、こんな顔のことだなぁ・・・と、わたしも本当に嬉しく思ったのでした。

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6 Comments

norori* says...""
いじめって、永遠になくならないものですよね。
いつの時代にも必ずある。
子供だけでなく大人でも職場や色々な所で必ず。
そんな中、momeさんご夫妻は娘ちゃんを守り抜いたのですね。
5時のおじさん問題で娘ちゃんも色々な葛藤があった中、
結局は親の言う事を信頼し、2年経っても5時のおじさんと仲良し♪
素晴らしいですよ~~!!
お家でいらん扱いされてた5時おじさん、
きっと娘ちゃんとお話したり挨拶したり、
生きがいを感じてたんじゃないかな?
破顔一笑した5時おじさん、目に浮かびます^^

もうね、途中から「5時のおじさん」やなく「5時おじさん」に
なっちゃいましたよ~( ̄ー ̄;
2011.08.08 21:04 | URL | #- [edit]
mome says...">to norori*さま"
5時おじさん(笑

本当にねぇ・・・わたし、ひとのあんな笑顔、ほとんど見たことが無いです。
と、いうか、おじさんは「大人嫌い」なので、いっつも、むっつりとした顔で歩いているところしか見たことがなかったんで、衝撃的でした!
おじさん、娘を本当に可愛く思ってくれてたんだなぁ~って思うと、やっぱりうれしくなりますねぇ。

今は、娘も少しだけ大人になって、いろんなひとの気持ちが分かるようになったから、当時よりも、ずっと優しくなったんだろうな~って思うけど。ん・・どうかな?(笑
今でも時々「おじさん元気かなぁ?」なんて話をするんですよ。
引越ししちゃって、会えなくなっちゃったんでね。

いろいろ問題山積みの娘だけど(笑)優しさは合格かな?(笑
2011.08.09 12:49 | URL | #- [edit]
アビmama says..."いじめは絶対ダメ!"
最後のところで何だか涙が溢れちゃいました

そういえば私、中学生の時に一部の先輩にいじめられてました
私は結構明るくて周りにもいつもお友達が居て部活は部長とか
生徒会の副会長とか書記とかしていたタイプでとてもいじめからは縁遠い人間だと思っていたのですが(笑)
当時はもちろん“いじめ”なんて言葉もなかったですけどね
あっけらか~んと明るかった私が疎ましかったのかしら?と今は思いますが当時は本当に嫌でした

そうそう、いじめは絶対ダメですよ!
どんな理由があってもダメ!

でも今は大人が大人だから・・・
娘が中学生の時PTAの集会である問題のある男の子の話が出て
いろいろ話しているうちに、結局母子家庭で育っているから・・・
で結論付けられそうになって・・・家も母子家庭だったのですが
その当時私はあまり意見を言わない人間だったのですが
ここで黙っていて良いのか!と思い、思い切って「それは違うと思います」
「それじゃ母子家庭で育った子は皆問題時になってしまいます」
「何か他に事情があるのではないでしょうか?」
これだけ言うのにドキドキでした
今の私からは考えられない(笑)

家の娘は学校の先生がおっしゃるには、おとなしすぎて目立つ存在だったそうです
人との付き合いが全く駄目で・・・
今も変わってません・・・付き合えば面白い人間なんですけどね・・・

私は何でもはっきり物が言えるmomeさんを尊敬します

長く書いてくださったコメント読めなくて残念でした
記事楽しみにしています
2011.08.09 13:34 | URL | #0ej1hy.w [edit]
ゆう says...""
イジメって本当に難しい問題ですよね。
momeさんのように、関心がないから・・・
って、自分らしく生きられる人って珍しいんじゃないかな。
私はず~~~っと周りに合わせながら10代生きてきたから、本当に羨ましく思います。

私は変に大人びたところのある子供だったんですよね。
だから、小学生の頃はわがままに駄々こねる友達の身代わりに嫌なことをすることが多かったです。
自分の気持ちに正直に生きるのってどんなだろうって、ずっと思ってました。
20代半ばでようやく自分らしく生きられるようになって、現在に至りますが、子供の頃は我慢の連続で、今思い出してもその頃の友達に腹が立ったりしますよ(^_^;)
なんであんなに自分を押し殺して生きていたのか、今となっては不思議でなりません。
だって、今私が怒ったり泣いたりしたら、場の雰囲気が悪くなるし、みんなが気をつかうからって、小学生の時にそんなことばっかり思ってたんですよ。

なんだかとりとめなくなってしまって、すみません。
でも、5時のおじさん、娘ちゃんと仲良くしてもらって、本当に幸せでしたね。
momeさんのようなお母さん、やっぱりいいな~♪
2011.08.09 14:20 | URL | #- [edit]
mome says...">to アビmamaさま"
家庭環境って、少なからず、子どもにも何かの形で影響することは事実だと思うけど、それが、必ずしも悪いことばかりじゃないですよね。
わたしの、とっても仲良しの友達も、女手ひとつで二人の子を育ててきて、やっぱり、子どもがトラブルを起こすたびに、呼び出され、「ひとり親だから・・」みたいな感じで言われたこともあったみたいだけど、わたしから見たら、その友達は、わたしの百倍は・・いや千倍は「良いお母さん」なのよ!
それで、問題が家庭にあるみたいに言われたら、たまったもんじゃないですよねぇ。
そしたら、どこの家庭も問題だらけよー。
その友達の家の子は、二人とも、本当に素直で良い子に育ってます。それは、ひとりで頑張っているお母さんをちゃんと観てたからだと思う。

人見知りの子って、付き合うと面白い!!って子、多いですよね(笑
わたし、いつも思うけど、友達ってたくさんいなくてもいいよねぇ。
本当に分かってくれるひとがひとりでも居ればいいんだと思う~。
2011.08.09 15:52 | URL | #- [edit]
mome says...">to ゆうさま"
わたしね、基本的に、ひとに嫌われても大丈夫なひとなんですよ(笑
ちょっと鈍いのかも!
そりゃ、好きな人から嫌われたら哀しいけど、そうでもないひとになら、別にいっかなーって。
だから、協調性にかけるんだなぁ・・(笑

たぶん、そういう意味では、ある程度わがままだったんだと思いますよ。
子ども特有のわがままさとは違ったかもしれないけど。

でも、ゆうさんみたいな子が友達でいたら、きっとみんな、ゆうさんを好きだったんじゃないかなぁって思うなぁ。
やっぱり安心できるものね。
わたしは、好かれも激しいほうだったけど、嫌われも激しかったからね(笑

わたしは、かな~~り出来損ないの母ですよ!
うちの子になったらわかるかもよ~?(笑
2011.08.09 16:14 | URL | #- [edit]

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