風と幻灯

家族のこと、猫のこと、日々の暮らし。
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「プー」の話し⑤

息子を迎えに外に出たら、今日は春めいた空気を感じました。
2月も半ば。
もう少しで春ですね^^


さて、長々語っています、プーのお話し、続きです。(いましばらくお付き合いください 笑)

プーはとても、とても、賢い猫でした。

玄関のチャイムが鳴ると、ドアが開くことはもちろん知っていて、わたしが玄関を開けると、どこからともなく走ってきて、わたしの足元をするりとすり抜け外に飛び出して行きました。

庭の草木に水をやろうと、リビングの窓を開けても同じこと、換気をしようと網戸にしても、網戸すら破って飛び出しました(何度張り替えたことか・・・)

そしてとうとう・・。
窓の鍵すら自分で開けれるようになっていたのです。


「あっ!こら!プー!!」と必死で追いかけますが、猫のすばやさにかなうわけも無く、いつも人間は惨敗。
それでも、夕方になれば「ただいまー!」と何事も無かったかのように帰ってきて、ごはんを食べて、わたしたちと一緒に眠りました。

時々、近所の野良か飼い猫かは知りませんが、猫たちがリビングの出窓の下にやってきて「おい、プー、今日はこないのかよ!遊ぼうぜ!」と声をかけてきました。
そうなったら、もちろん、プーは必死で外にでる道を模索し始め、そしてそれらは、たいてい成功するのでした。

横浜にいた頃のように、喧嘩をする様子があまり見られなかったことで、困ったことだと思いながらも、少し油断していたのは事実でした。
それに、ちゃんとおなかがすけば帰ってくるし・・・。

そんなプーとの攻防が、2001年まで続きました。
プーは10歳を過ぎていました。

病気の方は、完治することは無く、時々血尿をだして、何ヶ月かおきに病院に行っていましたが、外でごはんをもらう回数が減ったのか、外での運動が効いたのか、横浜にいた頃よりはずっと調子は良かったです。

「こら、プー!」と追いかけるのが、形骸化した頃、2001年の1月。
それは起こったのでした。

その少し前から、わたしは、あるアーティストのCDBOXを探していました。
発売されていることは知っていたけれど、メジャーなアーティストで無いので、なかなか売っていなかったのです。
今みたいに、アマゾンも無かった頃でしたし(あったかもしれないけど、知りませんでした)パソコンも普及し始めたころで、毎日、imacを使って、それを検索したりしていました。

そしてとうとう、1月3日。
そのCDBOXの在庫があるお店を発見したのです。

翌日、さっそく買いに出かけることにして、わたしは、本当にいそいそと嬉しい気持ちで四谷に向かいました。

まだ、覚えています。
小さなCD屋さん。ビルの2階にあって、そのCDBOXはレジの後ろにちんまりと置かれていました。

大切な赤いBOXを抱きしめるようにして家に帰ると、もう、日が西に傾き始める時間でした。

これは、わたしの記憶が、勝手に上書きをしてしまったかもしれないのですが、家の中はシンと静まり返っていて、リビングには西日がうっすら差し込んでいました。
子どもたちがいるはずなので、シンとしているわけは無いのですが、わたしの頭の中には、その光景が残っているのです。

玄関から、キッチンへのドアを開けて入り、リビングを見渡すと、薄暗い室内。
足元には、プーのごはんの容器。
からになってる。

「プー?」

そう呼んだように思います。

2階にあがり、プーの姿を探します。
でも、プーはいない。

また、出て行ったのか・・。
階段の上の小さな窓が、少しだけ開いていました。
ここの窓の鍵をあけるのは、プーの得意技でした。

荷物を降ろして、庭に出て、「プー!!」と何度も呼びました。

なんて言うのでしょうか?
いやな予感・・?
それとも違う。
何か、シンとするような感覚。

なぜか、いつものように、プーを待っていることが出来ませんでした。

家の周りを、「プー!プー!」と呼びながら、歩き回りました。
プーは、いつものように、「んにゃぁぁ」と鳴きながら、帰ってきませんでした。

そこから記憶は夜、夜中に飛びます。

夜遅く帰宅した夫くんに、プーが帰ってきていないことを告げました。

実は、今までにも3回ほど、そういうことがありました。
翌朝、家の周りを呼びながら探し回ると、団地の階段の下で眠っているプーを発見したり、「あ、おかーさん~!」と走ってくるプーを見つけたりしたこともありました。
もちろん、そのたびに心配していたのですが、今回は、なんだか、ちょっと違うようなきがしていたのでした。

夫くんとふたりで、とにかく探しに行こう。ということになって外に出ると、ちらちらと雪が舞い降りてきていました。

雪の降る中、夫くんと懐中電灯を持って、二人で「プー」「プー」と呼びながら家の近くを、神社を、畑を、ひとの家を、探し回りました。

1時間、2時間過ぎて行き、雪はどんどんと勢いを増していきました。

その日は、眠ることも出来ず、リビングでふたりで夜を明かしました。

朝、外は一面の銀世界でした。


1月5日。
朝から、プーの捜索が始まりました。

雪はまだ降り続いていて、猫が隠れそうな場所を丹念に探し回りました。

4丁目、5丁目、3丁目、9丁目。
まさか猫が、そこまで行かないだろうと思う場所まで捜索を広げました。

プー。プー。

わたしは泣きながら、プーをずっと呼び続けていました。

行き交う子どもたちに、「猫をみなかった?こげ茶色の猫なんだけど」
答えは、ありませんでした。

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